雑誌『風の旅人』編集長佐伯剛さん主催の風天塾に行ってきました。
7月に「人間らしさとはなにか?」というテーマで関野吉晴さん(探検家)と山極寿一(人類学、霊長類学者)さんが語られた第一回に続き、「学びとはなにか?~カオスと科学、芸術~」というテーマで池田 研介さん(複雑系物理学)と村瀬雅俊さん(生命基礎理論)さんが語られた今回。
知識を得て「いい話を聞いたなぁ」と満足するのではなく、それをアウトプットすることが大切(どのようにそこに存在し他人と関わるか、ということを含めて)という話や、自分と社会との関わりを個人的によくしていくということと、社会への橋のかけ方についての議論などを聞いて、家に帰ってから自分のこれからの生きる道についてぼんやり渦巻いていた事柄を文字にしてノートに書き出してみました。
私が着物に興味を持ったのは今年のお正月に友人たちが着物を着ている姿を素敵だなぁと思ったことがきっかけです。
お茶の先生をする母より母・伯母・母方の祖母の着物と帯と履き物を譲ってもらい、着物に脂が付かないように手を洗ってから触れたり、脱いだ着物を陰干しして、しわをのばしながら着物を畳んだり、ひとつひとつたとう紙に包んだり、汚れたら洗いに出したり、手間をかけて着物を丁寧に取りあつかうことが、遠く離れた故郷の母や伯母、もう亡くなっている祖母を大切にしていることのように感じ、視覚的な造形の美しさだけでなく、手で触れることで母たちが着物に寄せた思いや大事にされてきた時間を感じ、どんどん着物にのめりこんでいきました。
友人のご縁で着付けの先生を紹介してもらって自分で着られるようになり、また別の友人のご縁で和裁の先生も紹介してもらって、あずま袋を作ったり、今後長襦袢や浴衣を作れるようになりたいと思っています。
着物を好きになってからお花にも興味を持つようになって、人が活けたお花や散歩道で出会うお花にときめいています。
そして最近、ついに、というか、やっと、というか、茶道に関心を持ち始めました。
今はシフト制で毎週何曜日が空いている、というのがわからないのですが、2015年4月ごろより働き方を変えようと思っているので、そしたら茶道、習いに行きたいと思っています。
まわりには裏千家をされている方が多くて、裏千家であれば陶々舎の福太郎さんからも教えていただける…というのは魅力なのですが、色々考えた結果、表千家の作法を習いたいと考えています。
今はまったくご縁がない状態なのですが、4月までにご縁があるといいな、と思っています。
現在私が生業としているのは看護師の仕事です。
2016年1月より2か月ほど南米を旅したいと思い、2015年3月で今の病院を退職して、旅までは流しの看護師として派遣で働き、旅から帰ったらまた病院勤務をしたいと思っています。
私は社会学部を卒業して他の仕事をしていて、その仕事の中で「自分はものを作る仕事にあこがれているけど、人と接する仕事が向いている」と思い至りました。
そのとき仕事の一つに訪問看護/介護を受ける利用者さんや看護師・介護士の方の話を聞き記事にするという仕事があり、そこで出会った利用者の方が、自分がそれまで思い描いていた「助けが必要な弱者」ではなく「自分の人生を受け止め、人と関わることができる人」だったので、病気というものに対する考え方が、「不幸な出来事」から「人を変える大きな出来事」へと変わり、医療の現場で人と接することができる看護師を目指しました。
ゆくゆくは訪問看護師として働きたいと思い、今は大学病院で働いて3年目となります。
旅から戻った後は、リハビリ病院とホスピスでそれぞれ3年くらいずつ働き、訪問看護の道に進みたいと思っています。
そして、旅について。
高校2年生の時にヴィヴィアン・ウエストウッドへの憧れから両親に頼み込んでホームステイさせてもらったロンドンに始まり、大学時代はアルバイトをしてヨーロッパやアジアの国々を旅しました。
また、就職して添乗員の仕事もしていました。
ある時、青海鉄道でラサへ行くツアーの添乗をしました。
ダライラマ14世と多くのチベット民族の人たちがラサを離れてダラムサラに移り住み、ラサでは青海鉄道の開通で押し寄せた大量の漢民族の人たちが商売を行っていると聞いていたし、実際に見たラサの印象も「テーマパークのような観光地だなぁ」というものでした。
自分もその「安全安心でイレギュラーなことなど起こらず、数日間異文化を体験して何事もなく日本に帰れる観光」を売り物として給料をもらいながら、ラサのジョカン寺を訪れました。
そこで、一心不乱に五体投地で祈るチベット民族の人たちを見たとき、私にとって観光地であるこの場所はこの人たちにとっては聖地なのだ、物理的にはまったく同じ場所同じ時間に存在していても、この人たちにとっての「いま、ここ」と私のそれはまったく違うのだと思い知りました。
そして、どこに行ったとか何をしたとかが大事なのではなくて、自分が世界をどう認識できるかが大事なのだとわかることができました。
今も国内外にかかわらず、旅をして色々な人や文化や食事に出会えることは私の喜びです。
着物、看護、旅。
これからどのような道ができていくのか楽しみです。